マーケット短信 Vol.170 May, 28 2009

「青山通り」
昭和30年代、青山通りの「KINOKUNIYA」から表参道の「キディランド」まで、時々視察のために人が歩いた。近代経営と切り離すことのできないセ ルフサービスという販売方式を、日本で最初に食品で実践したのがKINOKUNIYA、非食品で初めて導入したのがキディランド。その結果青山通りから表 参道への、セルフサービス方式を実践する2店を巡る視察コースが出来たもの。
今ではセルフサービス方式をとらないスーパーマーケットは珍しく、非食品にあってもホームセンターを筆頭にチェーン化をしている小売業は殆んどセルフサー ビスを導入しており、買う側もいつの間にか袋詰めまで自分の手で行うのが、当たり前になるまでこの方式は普及した。昭和30年代から40年代の青山通り は、今ならば新業態店として全国的な話題になったであろう個性的な店がさりげなく開業、通りを走る車も外車が多く独特の雰囲気を持つ通りだった。
VANが生活提案の一環として「オレンジハウス」の1号店を本社近くに開業して好評を博し、グリーンスタンプがグリーティングカードに拘った「レイジー スーザン」を開業、この頃開店したスーパーマーケット「ユアーズ」は、この時代に既に深夜営業をもって夜中に多くの客を集めていた。そういえば青山通りの 「無印良品」で、飾りの無い超シンプルな自転車に出会い感動したことを思い出す。大型施設としては鈴屋による今も残る「ベルコモンズ」が開発され、中では キディランドの遊びと学びの融合した新店が記憶に残る。多くの店がなくなりKINOKUNIYAとベルコモンズだけが残ったのが今の青山通り。
今年、KINOKUNIYAが新築なった「AOビル」地階に戻って来て話題になったところで、古き良き時代の青山通りを思い出したが、その通りしか持ち得 ない独特の雰囲気や匂いは、その時代と処を共にした人、夫々の胸に思い出と共に残る。

「パンの面」
散歩を兼ねて良く行く店がある。住宅街にただ一軒あるパン屋で、店主が作り売るのだが食パンもフランスパンもクリームパンも美味しい。先日店主とちょっと 面白い会話をした。次の土曜日の為に食パンを3斤予約したのだが、娘と友人に持たせるので2斤と1斤に切り分けて欲しいと頼むと、1斤の方はスライスして も良いかと問う。面白いことを言うなと思い訳を訊ねると、2斤と1斤に切る場合はナイフで切らなければならず切った面が粗くなるので、スライサーで1斤の 方を6枚切りにし、残る2斤のパンの面を綺麗に仕上げたいというのがその理由。 店主は以前日本の大手自動車メーカーでメカニックとして勤務、ロサンゼルスに住んでいた。米国ではこんな細かいことに拘る人に出会ったことは無いが、日本 ではパンの面の見え方にまで気を遣わないと満足されないというのが結論。
外国から多くの小売業が日本へ進出するが、オフィスマックス、オフィスデポ、セフォラ、カルフール等むしろ撤退した企業の方が遥かに多い。善し悪しは別に して、商品やサービスに求める日本人の感覚的なレベルの高さが、巧まずして参入障害になっているような気までした。

「遊具に見る遊びと本物との間」
前号で遊びと本物との間という項で私見を述べたが、カナダ在住でキッズキューブ等の遊具ビジネスに携わる読者から返信メールが届いた。「現在欧米の屋内遊 具の市場は、大人の世界で主流となるジムの要素などを取り入れるところが増え、いかに運動要素を入れて遊ばせながら、楽しく運動できるかが真剣に考えられ ている。」
日本のキッズマーケットを考える時、何となく商品が先にあっての仕組みづくりを考えがちだが、子どもの方は物を所有するしないに関わらずその遊びが楽しい か否かが絶対の評価基準。仕事体験的な、遊びと本物との境目が判然としないものにより強く惹かれる方向へ気持は動く。

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