マーケット短信 Vol.171 Jun, 12 2009

「玩具小売業のブランド価値」
「トイザラス」による「FAOシュワルツ」買収報道があった翌日、シュワルツのラスベガス店へ。中央の1階から3階へ直通のエスカレーターは停止、店も2 階までしか開けていない。この店を見る限り以前より準備は行われているようで、2階奥のマダムアレキサンダーのショップは、看板は残っているもののレーシ ングの売場になるなど、まるで専門店の態をなしていない。
帰途ロサンゼルスで、シュワルツが百貨店の「メイシーズ」に出店と聞き連れて行って貰った。シャーマンオークスにある2核のSCの、メイシーズの子供服売 場奥に小さな売場があり、商品はPBのぬいぐるみ中心で、シュワルツのブランドを前面に打ち出した売場というには遠い。店内サインにはFAOシュワルツが 表示され、選ばれた店に複数あるようだが客側の反応は如何か。
昨年末2度目の破綻をした「KBトイ」。’01には1,300店を擁し’03にはシアーズ,CVS,セーフウェイにストアインストアを6,100店展開。 同時期にトイザラスはアルバートソンと組みトイボックスを展開しており、米国の仕組み先行のビジネスには感心する他ない。ライセンスショーでもパンフレッ トでPB,FC,ストアインストア,卸などKBトイのトレードマークを売り込む。然し100店近くを持つ良質の知育玩具専門店「イマジナリウム」をトイザ ラスが買収し、結局は全店閉鎖となった前例がどうして頭をよぎる。
日本と米国のブランド価値の評価は斯くも違い、倒産した会社に対する世間の見方も大きく違う。

「優等生のディズニーランド」
この時期アメリカのディズニーランドでは、各高校から今年の卒業生の中から優等生だけを推薦してもらい、各地からバスを仕立ててディズニーランドに集ま り、貸切りの園内で優等生達が遊ぶ催しが土曜日に行われているそうだ。
土曜日の夜一般客が帰った後の11時頃から翌早朝までの間、優等生だけが夜を徹して遊ぶことができるというので大変な評判を呼んでいるとのこと。例えばラ スベガスからだと夕方5時頃出発し現地に11時前に到着、帰りは朝の5時頃出発し全員眠ったままでのご帰還だそうだ。現地で仕事をしている方から聞いたの だが、面白いと言うか凄いと言うかアメリカならでは。

「ライセンシング インターナショナル 2009」
今年ラスベガスへ移ってのライセンスショー。500社超の出展で、アート,映画,TV,企業,キャラクター等から生まれたプロパティが約7,000。ライ センスビジネスで尤も日本との違いを感じるのはライセンサーと小売との距離の短さで、商品が形になるまでの過程に必ず小売が絡む。今回は会期の2日前に主 催による米国リテイルツアーがあり参加した。1時間のセミナーも、小売の現況と消費者動向の分析が中心で、視察もディスカウントストアと”Midtier ″と消費者の身近な小売で、距離の短さをここでも実感。

「米国リテイルツアー」
11時にファッションショーモールに集合。SC作りの考え方に加え、コンコースでのセリ舞台付のファッションショーは、そのものを見た。顧客の75%が観 光客で昨秋以降客数が減少するも現在は旧に復し、帰途立ち寄ったナカジマUSAでもここの直営店は去年12月こそ客数減の影響を受けたが、最近は売上も順 調に推移する。
セミナーの後バスで「コールズ」と「ターゲット」へ。タ―ゲットではPBの軽飲料と菓子を食べながらマネージャー二人と質疑応答。コールズに関しては “Midtier”に属するとのことで、日本ではGMSとされるJCペニーもここに分類。
会場でも視察の現場でも誰一人マスクをしていなかったのが、最も印象に残る出来事だった。

「人が集まる場所と店と」
アウトレットセンターの出店戦略の重要な要素の一つ大勢の人が集まる観光地への出店は、ラスベガスでもその正しさは証明されている。以前ラスベガスは中心 から車で15分の「ベルツファクトリーアウトレット」しかなかった。その後郊外に「ファッションアウトレット」、次に「プレミアムアウトレット」が開業で 3箇所に増加、結果ベルツをチェルシーが買収しSC名も変更。
そのチェルシーもディベロッパー最大手の「サイモンプロパティ」が買収し「ミルズ」も傘下に入るなど、米国のディベロッパーの変遷は激しく業界再編の動きは更に進行しつつある模様。
今アメリカで客側から支持されている小売業は、「ウォルマート」,「ダラーストア(100円ショップ)にSCは「アウトレットセンター」と、価格を強く意識した処に人気が集中しているようだ。

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