マーケット短信 Vol.179 Oct, 11 2009

「価格の威力」
リーマンショック以後の米国では、消費者の価格訴求型小売業への傾斜が顕著になっている。
小売1位の「ウォルマート」は上のクラスの顧客を取り込み伸張しているが、米国小売業の大きな流れは矢張り価格に集約されて行くようだ。米国は今ハロウィ ン一色だが、11月最後の木曜日はサンクスギビングデイ(感謝祭)で、翌日の金曜日は企業によっては午前0時に開店、最大の稼ぎ時であるクリスマスセール に突入する。
殆どの店がその日だけの超ディスカウント商品で客を迎えるが、チェルシー「プレミアムアウトレット」などは、前日の午後11時頃迄に行かないと近場には駐車できない程の混雑だそうだ。
先週見た「99¢オンリーストア」は、年々食品のスペースが広がり野菜の品目数は更に増加、冷ケースが増えて惣菜も拡がり、商品の内容と全品99¢の低価格が相乗効果となり客を呼ぶ。
お年寄りも目立つこの業態は生活必需店の趣だ。
「スターバックス」が大量閉店を決断したのも、ハンバーガーやドーナッツ店が力を入れた安くて旨いコーヒーへの客の移行がその背景にある。早い安いの 「フォーエバー21」は、タイムズスクェアに旗艦店と言って良い大型店を出店する。

「米国に見る業態の変遷」
「コンビニ」の始めは、朝7時から夜11時まで営業するセブンイレブン。当時の小売業の営業時間は10時から8時であり、前後3時間ずつ買物時間が増える便宜性で多く人の支持を得た。
昭和30年代のパットブーンのヒット曲”アイルビーホーム”に、毎週土曜日に僕達は角のドラッグストアで会ったねという詩があるが、ソーダファンテンのあ る「ドラッグストア」は、米国のみならず日本の若者にも憧れの存在だった。
10㌣、15㌣の均一店だったウールワースやモンゴメリーワードは「バラェティストア」だったが、バラェティストアのクレスゲから「ディスカウントスト ア」へ業態転換したKマートが急成長し、同時期にウォルマートも同じ業態へ転換。
「GMS」を代表する存在のシアーズとJCペニーはカタログ販売の出身だが、カタログの進化型ともいえる「ネット通販」の伸張は、業態開発の更なる可能性 を暗示する。「カテゴリーキラー」,「ホールセールクラブ」の次は有形無形混合型か。

「交代のスピードを増す米国小売業」
タイムズスクェアにあった「ヴァージンメガストア」の旗艦店が撤退し、今月ファストファッション「フォーエバー21」が代って入店する。
昨年のクリスマス、事業閉鎖を決めたターゲットの子会社のジュニア百貨店「マービンズ」で、7割引の閉店セールに客が集中しレジ待ちの列。先週ラスベガス で訪ねたSC「サンセットギャラリア」には、「マービンズ」の跡にNB商品のディスカウントもある価格訴求型の同業「コールズ」が、後継テナントとして今 月初め開業していた。
昨年のクリスマス、ロサンゼルスの複数のSCで見た「KBトイ」の5割,6割引セールは、倒産を踏まえた閉店セールで、最盛期に1200店を数えたKBト イは全てのSCから消えた。代りに今年のクリスマスは、「トイザラス」が”ホリデイ エクスプレス”と言うクリスマス迄の季節店舗をSCに大展開。先週その店を見たが、撤退した店舗の内装はそのままで什器,商品だけを持込み、店名サインの みあるがSC案内図への掲載無し。
価格訴求型ではない「アバクロ」の新しい業態「ルール」も、全店を閉鎖することが告知された。「タルボット」の傘下だった「J.ジル」も全店閉鎖が決ま り、先週見たニューヨーク郊外の複数のSCでも店名は残るが中は空で灯りも無く無残。

「カフェの効用」
米国最大の書籍小売業「バーンズ&ノーブル」が、時間をかけて本を吟味し納得して買ってもらう意図で導入したイス,テーブルの次の手は、店舗中央奥に設置 の「スターバックスコーヒー」。ゆっくり選んだ人は買い上げ冊数が増えることから「ボーダーズ」他の書店が後を追い、書店+カフェは米国ばかりか日本でも 良く目にする。
人形のミニテーマパーク「アメリカンガール」のカフェは、ランチ,アフタヌーンティーなど先に時間の予約を入れてから買物に回る。子どもの誕生パーティで は主役の子の人形の席の予約もあり、週末は人形を抱えた子と親とで賑わう。
店毎に異なるテーマの店作りの家電「フライズ」も、ラスベガス店の店舗中央にカフェを設置。
因みに米国の美味しいコーヒーのランキングで、1位は「ダンキンドーナツ」、「スターバックスコーヒー」は3位と言う調査結果が話題に。

今号は9日帰着の米国流通視察のレポートです。

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