マーケット短信 Vol.249 Sep,7 2012

「恒例と名が付く見本市」
9月第1週は様々な見本市が東京に集結する。
中でも来場者の多い「ギフトショー」は回を重ねて74回になるが、年2回開催であれば37年の長きに亘り継続し進化を遂げて来たことになる。
このショーの特性は、商品カテゴリーではなくギフトという生活する側の身近にある切り口をもって、時代と共に歩んで来たところにある。
ITの進化は商品間にあった業種の壁を崩壊させたが、どの時代でも生活シーンはその時代を生きる人と共にあり、この37年間を振り返ると市場から消えた商品は枚挙に暇がないが、ギフトという生活シーンはむしろ重要性を増した。
海外の恒例と呼ばれる見本市では自分が必ず立寄ることにしているショーの常連の出展場所が固定されているのは重要で、回るコースは展示棟毎の核になるブースから組立てるのが良い。
ギフトショーを回り改めて考えたこの見本市の魅力は、毎回立寄るブースがほぼ同じ場所にあり知己とショーに関わる話しができることと、主催者の時代対応に呼応し商品の方も時代対応を持続し継続出展する出展者の時代感覚だろう。
変化することが必須である時代に、恒例の見本市で商品も含め時代を感じられるのは楽しい。

「SANRIO EXPO 2012」
サンリオが新社屋へ移転後初の展示会を開催。以前とは会場の制約が異なり比べると少し規模が縮小された様だが、方向としては様々な企業とのコラボレーションも含め、ライセンスビジネスへの更なる傾斜を印象付ける催しであった。
印象的なのは“神戸風月堂のゴーフル”で、これまではパッケージにのみハローキティが使われていたものを、以後はゴーフルそのものにハローキティを型押しするなど価値向上へ向う。
当然のことだがプロパティを使う商品にも、価値と価格のバランスを意識する必要性は強まる。
時代の要請もあるのだろうが、早くから手掛けていたサービスとの連携も拡がりを見せており、現在サンリオのライセンスビジネスは世界109ヶ国にまで拡がっているとのことだった。
海外でのライセンスによるキティの商品化は、以前にパリで見たキティブティックなどは完全にブランドとしての展開であり、キャラクター全盛ではない国の潜在的な可能性は大きい様だ。

「時代が透けて見えるサン宝石」
中・高生がターゲットと思っていた「サン宝石」、最近は小学生のファンが増殖中のようで、夏休みも小学校女児の「サン宝石」詣でが続いた。
特に竹下通りにある原宿店は、夏休みに入ると海外在住で日本の実家に帰ってきた子たちまでが、日本で最初に行きたい店の第1位に挙げる。
先日も原宿店に友だち親子と行ってきた小学生が、「ほっぺちゃん」が三つになったと興奮状態の報告で、店のあれこれを熱く語って呉れた。
この年代は基本的には月々の小遣いは少なく、1個5円から100円の商品がそこここにあるこの店の価格の魅力は、大人が思う以上に大きい。
先日TVでも中国での手作りによる製造過程などを放映していたが、大量生産が前提のものとは違い大ヒットの「ほっぺちゃん」もほぼ手作りで、中国の生産現場の違う側面を垣間見た感。
通販が売り上げの過半を占めるようだが、最近イオンや三井不動産などのSCでも良く見かけるようになり、リアルな店舗も増殖中である。
何れにせよキャラクター関しては世界で類い稀な熱気の日本マーケットで、”カワイイ“をベースにしながら独自の世界を形成しつつあるサン宝石の躍進は時代のヒントを連れ歩いている。

「玩具,雑貨専門店が目指すべきは個性」
玩具マーケットでは量販型小売業の手法がほぼ出尽くし、「トイザらス」と家電量販店とでは消費者側が明らかな差異を感じることができる。
そして量販型の反対の極にある専門店の目指す道は、消費者の選択の幅を狭めないための商品選択と社員の創造性発揮による個性化が鍵だ。
ファンシーに始まり新マーケットを切り開いた雑貨小売業は、その後一つはバラエティショップと呼ばれる方向へもう一つは生活雑貨店で括られる方向へ進んだが、共に同質化に陥り特にバラエティショップの次なる方向が見えない。
雑貨専門店が伸張するためになすべきことは、厳しい商品選択と社員の個性を恃む積上げ方式で創り出す客が待ち望む個性的な店への挑戦だ。