マーケット短信 Vol.252 Oct,25 2012

「香港の新商業施設内の書店」
元香港三越の跡地が再開発され「HYSAN PLACE」という、高層の商業施設に生まれ変った。
核店舗は「ギャップ」とアバクロの「ホリスター」だが、台湾から出店し8階から10階までの3フロアを使う「eslite」がもう一つの核で、日本にあっても評判を呼びそうな魅力的な書店だ。
台湾の書店故か日本の書籍が目立ち、インショップの文具は品揃えも日本の商品が中心でギフト対応のカードやラッピング関連も充実、カフェも併設のこの店は香港にはない魅力を満載。
商品分類は代官山の蔦谷書店を想起させ、子供の本のコーナーでは所々で中置什器の片面をベンチ風の椅子にし、売場の中に高低差のある丸椅子を組合せ読み聞かせの場を作るなど、将に時代に相応しい書店であり個性的な核店舗だ。
台湾では終夜営業が評判の書店で香港でも当初は深夜も開けていたそうだが、深夜の買物に馴染めない国柄の様で今は午前2時迄の営業だ。
こういう新しい切り口で参入する店を見ると、生活の如何なる場面であれ本の居場所はありそうで、歴史を背負っている店が多い書籍の世界でも、やり方次第では新しい客層を確保し異なる結果を創り出す余地があるように思えて来る。

「香港メガショー」
雑貨が中心の香港メガショーで今回最も印象に残ったのはパッケージング関連のブースで、これまでは商品包装など業務用が中心だったが、今年は大きく消費財へ方向転換した印象がある。
例えば同一デザインの紙製の箱15サイズを大から小まで15段積み上げて展示する出展社が多数あったが、このディスプレイはそのまま店頭でアイキャッチャーとして使えそうで、ギフトを考える雑貨店の新提案として面白そうだ。
ギフトという切り口で更に見て行くと、毎回見慣れているブリキの缶類もパッケージングという視点から見れば、小売業が手を加えてオリジナルのギフト提案がしやすい材料でもある。
もう一つの紙袋は、中身の包装以上に贈り物を入れる袋のセンスが求められる時代の必需品。
このショーは小ロットで取引可の出展社が多く、雑貨店であればギフトという切り口で売場を構成する際に、デザインと材料の組合せで個性が出せる包装に改めて注目すべきではないか。

「香港のいつも行く店へ」
米国もそうだが香港でもSCでは“キッズワールド”的な売場作りが盛んで、ここオーシャンターミナルの1階は、長い時間を費やしてキッズ関連ブランドを主体にした店舗で纏まった。
「トイザラス」はこの階の一番奥にあるが、2本ある共用通路の両側に子供服とともにファミリー対象の飲食店も導入され、このフロアはウィークエンドともなると大変な賑わいを見せる。
最近トイザラスで目立つのは、エクスクルーシブ,PBなど自社企画による商品が増大し、フィッシャープライス,バービー,レゴ,プレイドーなど誰もが知るNBには存在感があるものの、売場で目に映る面積では自社企画が勝ることだ。
コーズウェイベイ「そごう」の玩具売場は、日本の百貨店が見習った方が良いと思われる程の充実ぶりで、サンリオショップを始めとする日本で言うところのファンシー売場も隣接、全体のバランスが良く何よりも楽しげな環境が良い。
玩具売場の中にハローキティの玩具がサンリオショップとは別に棚を設ける処などは、日本より柔軟性があり客視線による売場作りが進む。
「ログオン」は若者に一番人気のある雑貨店だが扱う商品は殆んど日本製で、値札は香港ドルになっていても日本の雑貨店と見紛うばかりだ。
この店は玩具を店頭から展示するが、今年1年を通して売場に定着したのは「ナノブロック」だ。

「見本市を見て改めて商品を考える」
日本国内でも様々な見本市を見るが、特に雑貨関係では小ロットで買付けできる方向へ進むのが必然なのではないだろうか。独立系の小型店が生き残りのために店の個性化を考える際、人の力だけでは足りず商品力が必ず必要になる。
香港の雑貨見本市はソーシングショーの性格が強いが、モノ作りを続けた先に自社ブランド商品を開発し販売を目指すものが必ず現れる。様々なマーケットでこの傾向は強まり、日本も小売と製造間の壁は崩れ限りなく距離は近づく。