マーケット短信 Vol.253 Nov,11 2012

「売場作りの要はモノからシーンへ」
様々な分野でモノ余り現象が目立つ日本のマーケットで、店がいま考えなければならないことは、既存店,新店を問わず売場作りの最初に商品(モノ)から入る思考方法の見直しではないか。

量を追求する量販店ならばモノから入るのが効果的な手法だろうが、深度を意識し商品を自らセレクトし構成する専門店には、玩具,文具,雑貨などの商品カテゴリーに関係なく、モノではなく場面(シーン)から入る思考が必須になる。

かつて玩具専門店は現在よりも多い商品ラインを持ち、各カテゴリーに知識と経験を持った者がいて客側の問いに答えアドバイスもできた。
その後扱い商品ラインは減少し人が減り知識は受継がれず、客からすると量販店を圧縮した印象しかなく、客側の店の選択の幅は狭まった。

今生活雑貨店が大人の客の支持を得ているのは、店側が意識するか否かに関わらず商品の性格からリビング,キッチン,バスルームなど、家の中で使われる場所に関係する商品が纏められ、商品の使われるシーンを客に想起させるからだ。

玩具店は商品で親子が遊ぶシーン、文具店はその商品で何かを子どもが創り出すシーン、売場に沢山のシーンを作り訴求するのが鍵になる。

売場作りを考える際重要視されて来たのは商品そのものだったが、これからの店に求められるのはその商品が使われる場面、遊んでいる場面、何かを創り出す場面などの設えが要になる。

「業態による生活雑貨の取り組み方」
雑貨というカテゴリーを大別すると、総合小売業が扱い消耗度の高い商品が核になる日用雑貨と、伸張する生活雑貨店がセレクトする生活を彩るおしゃれな商品としての生活雑貨がある。

米国の総合小売業は、雑貨に関して特に日用雑貨と生活雑貨を分けることはせず、生活用品全体を用途で分けその中にキャラクターやブランド物もあるのが、通常の売場の作り方になる。日本の総合小売業が日用雑貨と分けて生活雑貨を専門店展開するのは米国では理解し難い筈だ。

日本の専門店が展開する生活雑貨は、量販を避け自らセレクトした商品をコーディネイトし、実用性におしゃれ感や楽しさを加えた組み立てで、生活場面を提案し他店との差異を創り出す。日本の生活雑貨店は矢張り日本独自のものだ。

「商品の居場所」
商品の間のみならずモノとサービスの間の 境目も崩れる時これまでの商品の定位置は揺らぎ、境目の意識は却って売場作りの邪魔をする。

境目が崩れる大きな要因はIT系企業が開発するサービスや商品によって齎されるが、その変化のスピードは他に例を見ないまでに早く商品を作る側と売る側が確立した商品の壁は生活に近い商品カテゴリーほど大きな影響を受ける。

携帯電話の普及と共に腕時計は、特別な時には使うが時間確認の道具としての必要性は薄れ、定位置の腕という居場所を失いファッション性など、異なる価値による再構築が求められる。

文具は同じ商品ジャンルでもデザイン,機能,用途などにより、商品の置かれる居場所が変る。筆記具は小学生時代の筆箱に始まるが長じてはペンケースに移り、社会人になると身に付けるかバッグの中が定位置になり居場所が定まる。

生活雑貨は実用性,機能性のあることが前提だが、夫々用途別に家の中での居場所が定まり、小売店頭でも家の中での居場所が定位置になる。

玩具は多くの場合遊びの楽しさにより価値が評価されるが、目に見える実用性とは異なり楽しさの度合いという評価基準は難しく、遊んだ後の満足の度合いにより居場所も時に応じ変る。何れにせよ境目が崩れた後の商品の居場所は、既存商品が作った定位置を包含した上で、ソフトという無形のモノを核に更なる変化を遂げる。

「時代が変える商品の方向」
この季節になるとカード,年賀状そしてダイアリーが、書店,文具店,生活雑貨店,バラエティ雑貨店など、多くの専門店の店頭で展開される。
カード,年賀状は、欧米程ではないがメールの普及により販売枚数が減少しつつあるようだ。

ダイアリーは今個人の生き方や趣味に接近し、日々の出来事を綴るというよりは園芸,クッキング,グルメ,旅,写真,音楽,映画,スポーツ,育児など目的別に細分化され売場は明るくなった。