マーケット短信 Vol.255 Dec,19 2012

「阪急梅田本店」
新装なったベビー&キッズの売場は11階に。売場の核となる“あそびのひろば“は良く考えられしっかりした作りで、遊び場を包み込む様に回されたテーブル状の仕切りに椅子を備え、遊ぶ我が子を座って見ている母親の顔は優しい。
時代が百貨店に求めるものを形にしたひろばの役割は大きく、サービスと物販の境目の溶かし方という売場作りの新しい方向も示している。

「新宿伊勢丹」に始まる百貨店の量販志向商品からの脱皮は、“こどものいえ“によるアソートメントと「ニキティキ」を軸に、「ボーネルンドブレインストア」を含めセレクトに統一感がある。

トイザラス上陸時の日本の玩具小売業の対応を顧みると情報不足が主たる理由で混乱を極め、その最たるものが「トイザらス」大阪出店に対する阪急梅田の玩具のディスカウント対応だった。経過は措き顧客満足度の高い売場にほっとする。

玩具小売業の近い将来を考えると、トイザらス,総合小売業,家電量販店等の量販型に対して、商品の差異化を進め客側から見た店の選択肢を拡げる方向に視点を定める百貨店と専門店とが、マーケットに並存する時代になるのではないか。
客側からすれば玩具店が皆同じ顔であるならば店を選択する幅は限りなく狭まる訳で、各業態が己の存在理由を再確認しどんな魅力で支持を得るのかを、夫々が考えるのが出発点になる。

「ビックロ」
新宿三越アルコット跡に「ビックカメラ」と「ユニクロ」が共同開発し、様々な仕掛けやゴチャゴチャ感が評判で話題となった「ビックロ」。

開店2ヶ月後ウィークデイの昼前に見た店は仕掛けよりもいつもの売場が目立ち、互いの商品を入れ込み面白がられた展示も落着いた様子。

ゴチャゴチャ感は客が大勢いることも大きな要素で、イベントで客を惹き付けるのはこの店では特に大事だが、無理に組み合わせたような商品のコラボを遥かに超えた、この店らしい来店客が驚き楽しめる売場作りを全うして欲しい。
小売業は些細なことに目を行き届かせるのが大事だが、気になるのは4階から8階までのエスカレーター脇に並んだユニクロのフック什器による展示。エスカレーターに乗った客には嫌でも裏側が目に入り全然おしゃれさがなく残念。

「年末商戦の営業時間から見えるもの」
年末商戦の比較で最も異なるのは、日本の歳暮の習慣と米国のクリスマスの集中度だろうか。
米国には歳暮にあたる社交儀礼としてのギフトはなく飽くまでも個人間の贈物が中心で、従ってクリスマスセールに販売の重点が置かれる。

ブラックフライデイのセールにしても買物に来ているのは皆個人で、子どもへのクリスマスギフトは玩具が定番になる個人消費が中心だ。

ブラックフライデイセールの開始時間は年々前倒しされ、今年はとうとう全国民が休むとされて来た“感謝祭“の祭日にも営業する店が増加。
祭日の開店時間は「Kマート」午前6時,「トイザラス午後8時」,「ターゲット午後9時」,「ウォルマート」は24時間営業以外の店でも午後8時だ。

また昨年「メイシーズ」が先駆けた感謝祭が終わる翌金曜日午前0時開店の店は、大手だけでも「コールス」,「ギャップ」,「オールドネイビー」,「ベストバイ」そしてメイシーズと前倒しが続く。

話しは変わるが、米国の今年の年末商戦で一番の働き者は、間違いなく「トイザラス」になる。

ブラックフライデイは前日の祭日午後8時に開店し、翌日のブラックフライデイ本番は午後11時に閉店と、何と27時間連続の営業だった。

更に12月14日(金)から23日(月)の11日間は、午前6時開店で閉店は翌日午前1時と凄まじい。
「博品館トイパーク」開業の年、伊藤社長(現会長)の朝までやろうかとの提案に賛同、イブは25日朝まで営業したことを懐かしく思い出す。全員参加で徹夜を楽しんだのも時代でしょうか。

「16日(日)も開いていたパリの百貨店」
12月第3週末はパリの百貨店の玩具売場に。オペラ座近くでは「ギャラリーラファイエット」と「プランタン」の2大百貨店が並び競うが、玩具に関しては両店それぞれに特徴があり楽しい。

ギャラリーラファイエットは5階全てがベビーとキッズのフロア。エスカレーター正面の「ディズニーストア」から売場の核である玩具へと誘導され、フルラインの商品展開は迫力満点だ。

一方プランタンはメディアのスーパーストア「フナック」が展開する教育玩具を核にした専門店を導入、独特の雰囲気に惹かれ固定客が集う。

この二つの玩具売場を見ると、玩具量販に対する玩具専門店の将来を暗示しているかの様だ。