マーケット短信 Vol.256 Dec,28 2012

「パリ郊外SC内の多様な玩具店」
12月16日(日)、パリ郊外のラ・デフェンセ駅に繋がり300店超が集結するSCで、量販型店、専門型店が競い合う玩具関連の様々な店を見た。

「トイザラス」はベビーザラス併設の大型店だがこの時期の需要は玩具に集中、幅広い品揃えとショップ化した「レゴ」,「プレイモービル」などメリハリの効いた売場が魅力だ。朝から大賑いで10台のレジに各10人以上が列を作り、向い側の売場には全く客が行けない状態が続いた。

ハイパーマーケット「オーシャン」は商品を絞り価格訴求をし基本商品のPB化が進む。量販型小売業の方向性に米,欧,日の差は殆んどない。

トイザラスからエスカレーターで2階へ降りると目の前が知育玩具専門店「フナック・エベイユ&ジュー(現在はOxybul eveil&jeux)」、書籍からの繋がりも良く100坪級の店舗は健在だ。

玩具関連は他に自然がテーマの「ナチュール&デクベール」と「ゲーム」が、切り口と専門性で集客するが「ビルド・ア・ベアー」は既に退店した。

同一SCで価格訴求の量販型と個性的な品揃えと人の力が武器の専門型の二つある選択肢は、専門型店の存在理由が確立した証しで羨ましい。

「米欧の玩具小売業の違いは専門店の立場」
ヨーロッパでは専門店,百貨店の玩具における立場は確立しその強さは健在だ。百貨店ではロンドンの「ハロッズ」の玩具が約1,000坪あり、パリの「ギャラリーラファイエット」もその半分位で、売場面積自体がその立場を象徴している。
フランスにある玩具の2大専門店チェーンである「ル・グラン・ルクレ」と「ジュエクラブ」は、それぞれが「トイザラス」,「カルフール」に次ぐマーケットシェアを持ち専門店の力は侮れない。

アメリカにも良い専門店はあるが、最も有名な「FAOシュワルツ」はトイザラスの傘下にあり、FAOシュワルツのPB商品が昨年のクリスマス時に日本トイザらスの店頭にも並べられるなど、商品戦略にも影響が出て来そうで立場は微妙だ。

かつてトイザラスが玩具専門店「イマジナリウム」を買収し、結局知育玩具の商品ブランドとしては今も残るが、約100店あったイマジナリウムは全店閉鎖されたことを見ても、基本戦略は量的な販売力に置かれており、客側から見た店の選択肢を拡げるという視点は感じられない。

「現地化を進めるトイザラス」
感謝祭明けの11月23日(金)午前0時、米国の多くの小売業がブラックフライデイセールに突入したが、この時「トイザラス」は前日の午後8時に開店そのまま翌日の午後11時迄営業した。

その後12月第3週週末の15日(土)からクリスマスイブの前日23日までの間は、連日午前6時に開店し翌日の午前1時閉店を敢行。米国の今年のクリスマス商戦では、24時間営業店を除き最も長時間働いた小売業はトイザラスだった。
12月16日パリ郊外のトイザラスでは、専用台で男性3人が無料でギフト包装を行っていた。

パリ市内の玩具専門店,百貨店はどこも包装は無料で人手を掛け如何に手早く行うかを競い、SC内の競合店も無料のために決断したようで、欧州圏の玩具専門店の存在の強さを実感した。

24日の日本のトイザラスでは、ギフト包装はせず大きなギフトバッグを販売しているのだが、日本らしい発想でレジの手前で買上げ商品とギフトバッグのサイズ合わせサービスをしていた。

小売業は店のある場所でそこに住む人々の生活習慣に、どこまで近付くことができるかを考え続けるのが成功への近道であることを、今年の各国のトイザラスの地域対応が教えてくれる。

クリスマス商戦最中のトイザラスをロサンゼルス、パリ、東京の3都市で見たが、夫々が対応したその国の買物習慣の違いが興味深かった。

「専門店のあるべき姿」
日本国内だけを見ていると、玩具専門店,文具専門店の成立する幅が狭まっているのを感じる。
然し目を海外に転ずると様々な手法と人の力により存在感を高めている店が多くあるのを知る。

考えてみると自らが動き正確な情報から客観的に自店の状況を把握し、前向きに対応策を考え実行しない限り現況打開の方策は生まれない。

小は小なりに大は大らしい方法で他にない店になることを目標に、夫々の店がその存在理由を自らに問いそして客に問い、如何なる魅力をもって客の支持を獲得するかを考え実践し続け、最後は客の選択に委ねることが最善の方法だ。

米国のクリスマス商戦の先駆けであるブラックフライデイセールを体感した後でパリに行き、専門店,百貨店の変わらぬ存在感と客からの支持を見て、日本の専門店のあるべき姿を考えた。