マーケット短信 Vol.259 Feb,6 2013

「ニュルンベルクトイフェア」
ドイツの鉄道と玩具はニュルンベルクに始まったことは夙に知られているが、トイフェア期間中参加者は入場バッジを見せるだけで、広域のニュルンベルク交通網内ならばどこへ行くのも無料、市を挙げての連携で客を優しく迎える。

「ニュルンベルクトイフェア」は各商品カテゴリーが12のホールに分れ、他国で開催する際には主役の総合玩具メーカーもホール№12に集約され、カテゴリーに特化した出展社が際立つ。

小売店がこのフェアを見る場合には如何に巨大な面積を持つ玩具店であっても、自店が扱う全ての商品の今とこれまでを見ることができる。

心ある小型店がこの見本市を見ると、100万点の商品の中から自らセレクトし、客側の視点で商品を構成できることに感動するに違いない。

玩具は米国ではマスが牽引、欧州は百貨店,専門店が強い存在感を持つがそれを支えているのがこの見本市の存在で、日本の見本市に欠けているのは小売側の視点であることを痛感する。

今回最も衝撃を受けたのはあの「シュタイフ」が出展していなかったことで、店頭ではいつも通りぬいぐるみの主役の座にあるが気懸かりだ。

「意欲ある書店と巡ったパリの玩具店」
日本の書店も他の商品カテゴリーとの接点に関心を持つ店が増えているが、今回「ヨーロッパの知育玩具を見る」視察旅行で数日間行動を共にした書店の方々の反応は、玩具から見た書籍との接点という視点からも興味深いものだった。
書店複合商材の可能性を探る中で今回は特に知育玩具を見ることが第1の目的で、ドイツへ入る前にパリの有力玩具店を1日掛りで案内した後「ニュルンベルクトイフェア」にも同道した。

17名の参加者の中には、大規模な玩具売場を持つ米国の書店「バーンズ&ノーブル」を知る人や、パリで評判の雑貨店「メルシー」を見たい人もあり、情報力と好奇心は書店ならではのもの。

書籍と玩具の繋がり方には二つの方向性があると思われるが、一つは今回の目的である知育玩具との接点であり、もう一つは豊かな時間の過ごし方という切り口からの接点になるだろう。

潜在する可能性は大きいが、願わくは性急に結果を求めることなく自然な繋がりから、消費者に新鮮な驚きを与えるものに挑戦して欲しい。

「書店との距離が近い出展社訪問」
ニュルンベルクトイフェアでは、既に欧米の書店ルートで実績を残している出展社を、日本の書店グループで訪問し成功に至る道筋を聞いた。

①ブリオ(BRIO)
質の良い木のおもちゃというのが日本の店,消費者に共通するイメージだが、特に木製のレール遊びは今に通じる幼児玩具の部門を確立した。
専門店ルート重視の政策で支持者が増えそうだ。
②シュライヒ(Schleich)
欧,米,日で、この数年で急速に存在感を高めた。
ニューヨークトイフェアに目を惹く展示で出店した年、五番街の「FAOシュワルツ」が2階で壁面を背負ったコーナーショップを開設し評判に。
ドイツでは意識して書店ルートにアプローチし、書店ルートで国内売上の10%のシェアを持つ。ドイツ以外の国は書店の売上比率が5%、日本は3~4%のため伸張の余地があることを強調、
日本でもシュライヒは良く目に付く様になった。
③ジク(siku)
日本の代理店は「ボーネルンド」で、1/87スケールのブリスターパックシリーズを中心に、回転什器で玩具店や書店に導入する方式がほぼ定着。
ドイツ国内での売場取りはほぼ完璧で、専門店,百貨店などの展示面積は日本のミニカーの現況を考えると羨ましい限りだ。欧州の玩具店は、意識して欧州メーカーの商品主体の売場を作る。
④ファーバーカステル(FABER-CASTELL)
世界最古の筆記具メーカーでは本社工場の視察。
10時に工場へ入ると朝早くから働く社員の休憩時間が始まったところで工場は動いていない。

ドイツでは早朝目覚めた時に外を見ると、5時頃から家々の明かりが灯り始め働き者が多い印象を持っていたが、朝早く出社し早く帰る社員の休憩が10時からなのを知り、疑問が氷解した。

この社は昨年の米国でも幼児向けラインをアピールしていたが今年は更に力を入れるとのこと、高級筆記具メーカーらしい新機軸を期待したい。