マーケット短信 Vol.261 Mar,1 2013

「欧米と日本の玩具専門店の差異」
欧州の玩具専門店の存在は実質を伴っている。

「トイザラス」と同じSCで競合しても独自の商品政策と深い知識を持つ人の力で対抗し、明らかに違う客層の支持の下、着実に成長している。

百貨店の玩具売場も専門店志向で、ロンドン,パリ,ミュンヘンなど主要都市では、300坪超の規模で専門店,量販店と店単位では対等に戦う。

今回のニューヨークは都心部だけではなく郊外にも出かけ玩具専門店を見たが、日本では玩具店がない駅前に個性的な専門店が当然の様にあり、玩具店の存在理由の差を確認させられた。

米国ではマスとは異なる商品の方向性を持つ玩具専門店が、最近SCへの出店を強化している。

近年米国のSC開発の主流は、大型SCから地域に住む人を対象にするライフスタイルセンターに移り、50店前後のSCにも必ず玩具店がある。

量的な販売力のある量販店に対する専門店は、見本市を味方にし自らの方向性を見出している。

日本の玩具店は早期に業態化を進め、今雑貨店の主流となっているバラェティストアと呼ばれる店の中にも、玩具店から転換した店は多い。

見方を変えればそれは世界に先駆けて玩具店が新業態を開発したように見える。然し大同小異の店が大量発生したことで、市場内のポジションを確保したプラス面と、消費者に飽きられ必要以上の部分が淘汰される方向が見えて来た。

欧米の代表的なトイフェアと専門店の在り様を日本の現状と比べると、小売店と見本市の繋がり方と流通の仕組みの大きな差異に思い至る。

「ラップル(WRAPPLE)」
渋谷パルコパート1四階の新業態「ラップル」。

ヨコの切り口はギフトで、タテのカテゴリーはラッピング,クラフト,文具,輸入食品の組合せ。

だが、この店の最大の魅力は新進デザイナーやクリエイターによるワークショップと、ラッピング等のプロによる講習会へ参加し楽しめる場。

店頭に配置された作業台はワークショップのない時にはパブリックスペースとして開放され、購入した素材を使いその場でラッピングも可能。

更にパルコ内で買った商品も有料で包装可など、恰もパルコのギフト包装ソリューション部の趣。

無料包装をしない米国では多くの店が包装用品を売るが、日本も自分のセンスを贈る時代へ。

「三大トイフェアと小売業の繋がり」
1月のニュルンベルクは昨年の-18℃とは大違いの連日最低気温がプラスで、2月のニューヨークは大雪で寒く今年は天気に振り回された。

見本市の際は必ず街に出て玩具店や商業集積へ行くが、香港は見たい店やSCが1日で一巡できる範囲にある。但し見本市はソーシングに比重が掛るため、玩具店との商品の繋がりは弱い。

ニュルンベルクは前後にロンドン,パリ,フランクフルト,ミュンヘン等に寄るが、ニュルンベルク旧市街の玩具専門店,百貨店を回ると、ドイツの玩具小売業の変容が縮図を見る如く分かる。

ニューヨークはタイムズスクェア,五番街周辺に玩具関連の大型店,新業態店が集積するが、マーケットを牽引する「ウォルマート」,「ターゲット」等のマスを見るには郊外へ行くしかない。

今年は郊外でマスを見た足でコネティカット州へ行き、駅前通りでヘアサロン併設の素敵な玩具専門店の経営者と話した。彼もトイフェアへ行ったのだが、商品をセレクトする目が大きな差異を作り個性的な店に繋がるのを実感した。
良い玩具専門店の背景に、支える見本市がある。

「ニュルンベルクトイフェア補遺」
今年のトイフェアには「シュタイフ」のブースがなかった。後日「日本玩具文化財団」より欧米型商談システムを導入、欧州,アジアは担当マネージャー、米国は現地法人の直接商談で販売先も決まっており、今回より出展取止めとの連絡を受けたがトップブランドだけに矢張り寂しい。

対照的に同じ会場で日本発の「シルバニアファミリー」が、着ぐるみを前面に大規模な展示で人気を呼んでいたが、背景や方針こそ違え同一会場内での良く知る出展者の交代は印象に残る。

今回は知育玩具に関心を持つ書店の方と同道し、会場内で書店との取組みに注力するメーカー数社を訪ねて現況を聞いたが、最初から意識して書店ルートが扱い易い仕組みでアプローチした結果が、今に繋がる道程は良く理解できた。