マーケット短信 Vol.262 Mar,27 2013

「KITTE」
東京駅前の旧東京中央郵便局跡に建設された「JPタワー」のB1F~6Fに商業施設「KITTE」開業。

2階と3階には日本郵便と東大が運営する博物館があり、大型動物の骨格や植物見本など東大所蔵の学術標本約7,000点が展示されている。

4階では旧東京中央郵便局の局長室を復元し、6階にある屋上庭園からは東京駅丸の内駅舎と、発着する新幹線や在来線の列車が良く見える。

これら価値あるものを導入あるいは復元し無料で来館者に提示する姿勢は評価に値し、もの余り時代故に施設の評価をも高めるに違いない。

店舗は物販と飲食の98店、雑貨を組込み様々な切り口で表現する個性的で楽しい店がある。

一例は4階の「マルノウチリーディングスタイル」、核になるのはもちろん書籍だが、生活シーン毎に文具や雑貨が質と共に多種類が導入され、与えられたスペースにも思い切りがあり、書店としては小型だがカフェも含め楽しめる本屋だ。

最近の商業施設は開業時日本初、地域初の店をアピールするが、初めはともかく客側がいつまでそのことを覚えているかには疑問符が付く。

東京や大阪などの大都市にあるモノが中心で買うことが主たる目的となる商業施設は、魅力を薄れさせる方向へ走っているようにも見える。

眼下に見える東京駅や郵便局長室そして見る側に近付いて来た博物館、この施設では販売以外の有形無形のサービスが再来館を促しそうだ。

「伊勢丹新宿店の雑貨と玩具」
同じ小売業でも専門店から見る百貨店は、同一商品カテゴリーでも対象が異なれば取扱商品の素材,デザイン,雰囲気なども当然違いが生じ、商品の背景にあるものにまで興味が湧いて来る。

5階リビングフロアは、「新宿乙女雑貨店」が最も惹かれる店で栗原はるみも身近だが、インテリア,キッチン,食器,バストイレタリーも価格と質のゾーンで見ると納得できることが多い。

6階の玩具は日本における木製玩具中興の祖と言える存在だが、店の性格上偏ることなく普通の商品も揃え、相変わらず手の入った売場だ。

リニューァルオープンした阪急うめだ本店の玩具の絞り方や大阪駅大丸のポケモンセンターやトミカショップ導入と比べると、玩具売場には夫々の考えや思惑が売場に表れていて面白い。

「in KAWADA」
玩具という枠に捉われない切り口と纏め方で、小売サイドから評価される春季の「in KAWADA」。

小さなアイディアに端を発しても維持から進化へ進む少数と、踏襲から脱け出せない多数に分かれるものだがこの商談会は前者。但し時を経るに連れ小売側からは売場での定着に繋がる仕組みの構築を、求められているように見える。

既存商品の中に切り口を形にした商品を立ち位置の違いを踏まえ定着させる時、必須なのは提唱する側と場を作り売る側の恒常的な連携だ。

商談会の次の眼の付け所の一つは、商品間の境目あるいは遊びと学びとの境目など、境目に潜在するマーケットになるのではないだろうか。

「ショッピングセンター開発の流れ」
米国のショッピングセンター(SC)開発は、大型商業施設向き立地の不足、買物時間短縮を志向する消費者の意識変化などの理由から、リージョナル型SC(RSC)の大規模開発は停止状態だ。従ってディベロッパーの重要な仕事は、既存SCへの新興人気小売業の導入や撤退した店舗跡への代替店舗の導入となり仕事内容は随分変った。

代りに新規開発の主役になったのが、その地域に居住する人を主対象にする原則オープンモールになる、ライフスタイルセンター(LSC)だ。

米国は人種,宗教,所得等の違いから、生活習慣の近い人がコミュニティを作ることが多い様だ。

新規SC開発の主流となるLSCは、多くの場合富裕層をターゲットにするため、核店舗になるスーパーマーケットは意識して自然食品を主体に扱い、拘りのある各種専門店が多く出店する。

最近店舗数が50店から60店前後のLSCで玩具専門店を見かけることが増え、同様にベビー用品、文具、インテリア雑貨などもナショナルチェーンではないセレクトショップが必ずある。

生活習慣が左程変わらない日本ではLSCの成功は難しい様だが、個人としては自分の買物エリアの中にあって欲しいSCの新業態ではある。