マーケット短信 Vol.266 May,24 2013

「東京スカイツリータウン」
開業1周年目前の東京スカイツリータウンへ。スカイツリーのエレベーターに待ち列はあるが、平日午前中のソラマチは空いていて、きちんと見ていなかった店まで時間を掛けて見て回った。
首都圏に住んでいてもここまで出掛けて来るのには少しの覚悟が必要で、ツリーに上らなくとも気分は非日常でありこれまでのテーマパークや観光地の何れをも圧倒する312店の集積は、寄る気を起こさせ買物行動も土産の枠を超える。
強く感じたのは構成する店夫々が、1年間で5,080万人という来客数を背景にここにしかない商品の開発に腐心している処で、ツリーに上った帰りに買う土産という観光地定番を超える顧客の買物行動は、店舗の巨大な集積の結果だ。
和をテーマに集積した店でも初めて見る商品が多く日常的な買物の範疇に入る店も夫々に個性的で、この場所で初めて出会い自分が欲しくなる訳あり商品探しも楽しく、大多数の店が掲示するここでしか買えないというキャッチフレーズが、ここソラマチでは威力を発揮している。
身近な店の一つメディコムトイ「ベアブリック」は7cmで和のイメージのベアブリック26種を揃えるが、一つ手に入れると後を引きそうだ。
テーマパークより距離的に近く費用も安いソラマチは、観光地の物販でコレクションという新分野の可能性を証明してくれるかも知れない。

「体験型施設でお土産を買う気分」
消費者が財布からお金を出す時、これはモノを買うためこれはサービスをして貰うためなど、家計簿の科目の様に分けて考える人は少ない。
かつて物販と飲食やサービスとの間に立ちはだかっていた壁は時代の流れと共にいつしか崩れ、買う側の行動は意識せぬまま変化を遂げた。
東京スカイツリーへ行く時に先ず考えるのは、展望台へ上がった時の360度見渡せる下界の眺望であり、ここはスカイツリーがあるからこそ体験できる無形の景観が最大の価値の観光地だ。
この施設の来客数がディズニーリゾートや六本木ヒルズを凌駕するのは、体験することに価値を感じる異質の魅力が顧客を惹き付けるため。
他にはない体験を目当てに集まり最後は日本人らしく買物へと人は進むが、既存の観光地との気分の違いは必ず商品に反映されて行く筈だ。

「小型へフォーカスする業態開発」
最近のマーケットでは生活者側の都市部回帰という意識と行動の変化に対応し、業態開発の方向性として大手小売業によるミニスーパーの展開と、専門店による小型店への挑戦が目立つ。
欧米の総合小売業の多くが先行するエクスプレス業態を「まいばすけっと」名で展開するイオンは、東京,横浜,川崎に続き昨年から札幌市内でイオン北海道も展開を始め現在8店になった。
専門店の小型店開発は、無印良品が成田,関空,新千歳等の空港に旅,ビジネス,遊びに特化した新業態「MUJI to GO」を展開し、今年東京駅前の「KITTE」にも出店。更なる小型業態は菓子,飲料,文具等による駅の中の無印良品「com KIOSK」だ。
東急ハンズは提案型ライフスタイルショップを旗印に「ハンズビー」の意欲的な展開を進める。
ロフトはカテゴリーを廃し使用シーン別の括りで陳列する白が基調の新業態「セルフ&シェルフ ロフト」1号店をドームシティで開業した。
生活者側の欲求から生まれる新しい可能性を秘めた立地への出店を念頭に、客層そして動機に合致した店作りが今小売業に求められている。

「ショッピングセンター作り様々」
日本のショッピングセンター(SC)は通常開業時に空きスペースはないが、日本以外の国々のSCでは全てが埋まらないケースがままある。
SC先進国アメリカでも特にオープンエアが前提の大型パワーセンターなどは、建物も自前で建てるため最初に開業した店から数えると1年後に漸く全店が揃うと言うことも珍しくない。
ディベロッパーは自ら開発するSCの立地やテナント構成から繁盛することを確信できれば、出店条件を下げて埋めることはせずに、開業後繁盛してから売り手の思い通りの条件で交渉した方が良いというのがその最大の理由のようだ。
その結果ニュージャージーの[バーゲンタウンセンター]の様に、数年掛りで全区画が埋まり漸くSCが完成というようなことさえ起きる。