葉佐弘明の「マーケット短信」 Vol.274 Sep,26 2013

「マーチエキュート神田万世橋」

「JR東日本」が、かつて中央線の終着駅だった万世橋駅の遺構を活かした商業施設[マーチエキュート神田万世橋]を9月14日に開業した。

さすがエキュートを生み出し進化させて来ただけに、2階の旧万世橋駅のプラットホームにカフェと展望デッキを新設し、両脇を走る中央線の快速電車の上下線がガラス越しだが間近に見られるユニークな施設になり誰もが楽しめる。

ニューヨークでは高架の旧貨物線跡を[ハイライン]と名付け、チェルシーからハドソンリバー沿いに北へ向う遊歩道を設置今も延伸中で、大都市夫々に昔を思い起こさせる施設が人気だ。

「客サイドが思う あったら良い店」

思い立って子どもと一緒に店に行き我が子お気に入りの遊び場や大きな紙を貼ったテーブルで絵を描く子を後ろで見、何かの時には買物もするような店との付き合い方があっても良い。

合理的仕組みで消費者の基本的な要望を満たす大手小売業と、小型だが買う目的がなくともそこへ行くことが目的になる店という両極端客側が望むのは個性の違う店が複数あって、その時の目的や気分で店を選べる環境ではないか。

店が通常入手できる商品以外も極力揃え、客側からあって良かったと言われる店が増えれば、選択肢は増えマーケットは拡がる可能性がある。

問題は個性的な店を作る際の店とメーカーの距離の遠さ、量販店で売り難い要説明の商品も先ず大手小売業に行き、大手の不扱い商品は問屋在庫がない流通形態の改善が喫緊の課題だ。

小売業を大別すると価格訴求を打ち出す量販店と価格より価値に基点を置く百貨店,専門店だが、特に専門店は量販店には難しい部分に注力し、店で得た小さな成果に磨きをかけ小さな改善を続ける姿勢の持続により強い店になる。

大手小売業のPBは既に製造業の立場に踏み込んでいるが、客の選択の幅を拡げマーケットを拡げる役割を担う専門店がなすべきは、問屋との協働による製造業との距離の短縮だろう。

商品カテゴリーが基軸の業界の枠を超え、サービスや飲食など同じ消費者をターゲットとする異業界と協働し、客側からそれがあるから行くというその店だけの個性作りを進め、顧客満足度の高い店にすることを再確認すべき時代だ。

「質が変るライセンスビジネス」

 ライセンスビジネス先進国の米国ではライセンサーと小売の直接契約は当然だが、一昨年の「サンリオ」と「ウォルマート」の契約は関係小売業に衝撃を与え、今もウォルマートのハローキティ商品は市場に影響を与え続けているようだ。

日本のライセンスビジネスにおけるライセンシーは、多くの場合小売ではなく製造業になるが、数年前に「ソニークリエイティブプロダクツ(ソニーCP)」がライセンス業務に方向を定め、「サンリオ」もライセンス業務に大きく軸足を移した今、リーダーと目される企業が専業ライセンサーとして機能することでビジネスは変わる。

プロパティの理解度はライセンサーが上回り、どこがライセンシーになっても開発される商品を最適の場所で売る仕組み作りにまで関わることで、小売業との協働が円滑に進み結果も変わるため小売との距離は限りなく近くなって行く。

「スヌーピー」を象徴する”スヌーピータウン”が好調ならば全体への波及効果は大きく、ライセンサーは商品開発から販促までを運営小売業と協働しライセサー,製造,小売の距離も縮まる。

フランス生れの「リサとガスパール」は日本のみならず世界でライセンス展開する権利をソニーCPが取得、国内は[富士急ハイランド]に”リサガスタウン”を開設、台湾,香港などアジア6国はエージェントとの契約をほぼ固めたそうだ。

戦後米国の流通理論に学び物販を核に発展した日本のチェーンストアは、無形のサービスや飲食の部分を長期間正当に評価して来なかった。

専業ライセンサーが確立する時、ライセンスビジネスでのサービスの伸張やカフェが牽引する飲食の背景にある、モノからコトへの消費者の欲求の変化を物販も等しく確認すべきだろう。

プロパティそれぞれの個性の違いにより取り組む小売業は異なるだろうが、根底にあるのは消費者の生活意識の変化であり、協働する小売業はプロパティ固有の個性の理解が基点になる。

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