葉佐弘明の「マーケット短信」 Vol.278 Nov,24 2013

Five Below(ファイブビロウ)

かつて米国の玩具マーケットで旋風を起こし、絶頂期に「FAOシュワルツ」に売却した「Zany Brainy(ゼイニーブレイニー」の創始者David Schlessingerが、2002年に創業した新コンセプト雑貨店「ファイブビロウ」の勢いが止まらない。

ティーンとジュニアを対象に全商品を1㌦から5㌦までの低単価で展開する新業態店で、最大の魅力は流行の商品と季節感ある商品により常に新鮮な売場を維持し飽きさせない店作りだ。

商品部門は店舗の壁面に大きな括りで掲示されているが、スポーツ・メディア・パーティ・キャンディ・ルーム・スタイル・ナウと、英語を片仮名にしても内容を感じとれる表示が、時代と店の性格を的確に表し誰にでも分かり易い。

スポーツはギアからMLBグッズ、メディアは書籍,スマホ関連、キャンディはスナック,飲料、スタイルは今の装いからビューティへと繋がる。

米国の分類ではディスカウントストアに属するようで、同種の店舗として米国の「ダラーゼネラル」を始めとする1㌦ショップ,日本の「ダイソー」,デンマークの「フライイングタイガー」などが挙げられているが、コンセプトや商品政策が最も近いのは、フライイングタイガーになる。

ゼイニーブレイニー同様ファイブビロウも1号店をフィラデルフィアで開業したが、東海岸中心の展開で既に店舗数は250店を超えた模様。

2011年対2012年の伸張率が40%に達し、最近は西海岸でも話題にのぼる企業になっている。

「雑貨店の新潮流」

前号で原宿に進出した新しい雑貨店「フライイングタイガー」と「アソコ」を取上げたが、今号で記した今米国で注目を集めている雑貨店「ファイブビロウ」との類似性にも注目して欲しい。

これら3店に共通するヒット要因として挙げられるおしゃれ,流行などのキーワードは、殆どの雑貨店が意識しているものだが、3店だけに共通する客側の予想を下回る低価格が生み出す店舗でのサプライズは、買う側の新しい体験だ。

雑貨店の多くは売上増大のため品目数を拡げるが、3店の品目数は規模に比べ遥かに少ない。

品目数を削ってこそ可能な低価格実現の仕組みが、雑貨店に求められる新しい一つの方向だ。顧客が感嘆詞を洩らす様な店が求められている。

「福岡の雑貨店」

 日本の商業施設におけるターミナル駅の集客力は欧米に比し格段に大きい。鹿児島から約1時間半の乗車時間は、沿線に住む人達にとり出掛ける気にさせる時間距離の様で、開業後3年目の博多駅の集客力は衰えを見せないが、商業の中心地天神への波及効果は大きくはない様だ。

北の札幌でも「札幌駅大丸」開業後は地方から札幌へ出かける人が増え札幌駅への集中度は高まったが、商業の中心地4丁目地区にまで足を伸ばす人は左程増えていない様で、南と北のターミナル駅は自己完結しているようにも見える。

今年も福岡の商業施設を駆け足で見て回った。

「キディランド」はキャラパーク内で「スヌーピータウン」の展開や「リラックマ」等のキャラクターをショップ化、ブランドでは「トミカショップ」を持つが、広域商圏における雑貨店の一つの方向性が福岡では受け入れられているようだ。

福岡の雑貨店でいつも感心するのは「インキューブ」で、この規模の店を高いレベルで維持し、文具や玩具では輸入品を核にハイエンドの商品を倦まず弛まず売り続ける姿勢は見習うべきだ。

小売業は人次第で店の様子も変わるが、インキューブが開設した郊外型店のレベルは高い。

過去にない新業態を見るのは大きな喜びだが、定点観測的に必ず訪ねる店であっても季節の表現,セールの際の売場作り,独自の売り方,商品の方向性等を見続けていると、店の大小に関わらず様々な形で前へ踏出す意欲を持つ店が多い。日本の小売業で働く人は世界に誇れるレベルだ。

「店それぞれの季節感」

折込みチラシで季節を感じることがままある。

最初に「トイザらス」のカタログで次は「イケア」、[東京ミッドタウン],[六本木ヒルズ]は、華やかなイルミネーションの写真に気持が動く。

今年は“アドベントカレンダー“を揃えている雑貨店が目立ち、子供の要望かも知れないがクリスマスが生活の中に定着する様子を思った。

 グループ83例会案内 (12月期)

大阪例会  12/ 5(木) 10:00~12:00 備後屋会議室
札幌例会  12/ 6(金) 10:00~12:00 葉佐研会議室
東京例会  12/11(水) 13:00~16:00 日本青年館
テーマ   「2013年のマーケットを振り返る」  葉佐弘明

連絡先 株式会社 葉佐商品研究所 TEL 03-3707-4453