葉佐弘明の「マーケット短信」 Vol.279 Dec,7 2013

年末商戦突入の米国のトイストア

 米国の玩具市場でマスと呼ばれる3社の“ブラックフライデイセール“の開店時間は、「トイザラス」前日午後5時,「ウォルマート」午後6時,「ターゲット」午後8時で何れも前年より前倒し。

 開店と同時にブラックフライデイセールに突入し、事前告知された目玉商品に人が殺到する。

 8時半ウォルマート9時半トイザラスへ行き感じたのは、商品の値引き率よりもむしろその訴求時間と手法の違いだった。午後5時から9時迄の4時間を第1弾とし第2弾を翌朝5時に設定したトイザラスに対し、ウォルマートは午後6時の第1弾から間をおかず8時に第2弾を投入したことが店内の客密度の差に表れた様だ。

 両社の価格比較ではファービーがほぼ半額でトイザラスが99セント高く、逆にスカイランダーズは1.5㌦ウォルマートが高い微差の戦い。

 この日ターゲットで目立ったのは商品補充人員の多さで、売場に空いた穴が一番少なかった。

 ブラックフライデイに来店する客側の期待は圧倒的に価格であり、専門店の[パズルズー」は頑張っていたが、この日に限っては2段階の価格訴求をした「デイズニーストア」が上手だった。

ウォルマートのブラックフライデイ

米国流通視察参加の方に一番見て欲しかったのは、米国に住む多くの人が真夜中に本気で買物に向う“ブラックフライデイ“当日に、量で他を圧倒する存在の「ウォルマート」の売場だった。

ウォルマートのこの日限定のチラシは40㌻。第一弾は6時開店を待つ人への目玉商品満載で、トップページでは32インチ98㌦と60インチ688㌦のTVを、開店後1時間は在庫も保証する。

次いで8時からの第2弾で追討ちをかけるが、こちらのトップは29ドルのスマホと49ドルのタブレットで同様8時までの1時間在庫を保証。

昨年もiPhoneで使った手法だが、商品の確保力が無ければ不可能で他社は中々追随できない。

今年はiPhone5c45㌦と iPhone5s189㌦に、夫々ウォルマートの75㌦のギフトカード付く。個人的な安値は10㌦のトンカマイティダンプ。

ウォルマートのブラックフライデイへの取組みは年々パワーアップ、玩具などは通路に直置きできるよう専用カートンボックスも用意されるなど、メーカーの強力関係も進んでいる様だ。

「米国流通視察のハイライト」

 今年の米国流通視察の主目的は年末商戦突入を告げる“ブラックフライデイセール“を、11月28日の“サンクスギビングデイ(感謝祭)“の休日が終る午前零時に開店するSCで体感すること。

[ウェストフィールドカルバーシティ]は、核に百貨店「メイシーズ」と「JCペニー」,ディスカウントストア「ターゲット」、家電スーパーストア「ベストバイ」の4店を持つ大型商業施設だ。

 昨年同様SC全体としては感謝祭が終る翌金曜日午前零時開店の情報を得ていたが、直前に核店舗が揃って前日開店に決り様相が一変した。

昨年は「ターゲット」のみ前日午後9時に開店、他はSCの開店に合わせ午前零時に開店したが、今年はターゲットとベストバイが前日午後6時、「メイシーズ」と「JCペニー」が前日午後8時に開店したために、「ゲームストップ」などの専門店は午前零時に開店したものの、核の4店が揃って前日に営業を始めたために、モール全体では実質的に前日からの営業と大差ない雰囲気に。

昨年は午前零時開店の{オンタリオミルズ}へも行ったが、モール全体が前日の午後8時に開店しており、その後訪ねた[アーバインスペクトラムセンター]も前日午後11時オープンだった。

小売り主導のブラックフライデイセールの開始時間は大手小売業,SCともに今年一挙に感謝祭当日へと動き出し、核テナントの開店時間が旧に戻ることは難しく、来年のブラックフライデイセールも開始時間の前倒しが拡がりそうだ。

ブラックフライデイセールの開始時間」

米国では年末商戦の口火を切ると言われているブラックフライデイセールだが、専門店では一日当り売上高が年間で一番多くなる店もある。

この日にかける小売業の期待は年々重みを増し、ここ数年売上確保のために開店時間を当日のみならず前日の感謝祭に繰上げる企業が続出。

米国の大手小売業で“ブラックフライデイ“に真っ先に開店したのは今年も「トイザラス」、昨年の前日午後8時開店を今年は5時に繰上げた。

次いで午後6時開店が最大手「ウォルマート」,「ベストバイ」などで、午後8時開店が「ターゲット」,「メイシーズ」,「JCペニー」などになった。

歩調を合わせる様にSCの開店時間も、午前零時から前日へと徐々に繰上げられる方向にある。