葉佐弘明の「マーケット短信」 Vol.282 Jan,26 2014

「開店相次ぐ低価格雑貨店」

 北欧系低価格雑貨店が主導する新しい流れは、昨年「フライイングタイガー」の原宿への2号店出店が話題を呼び、同じデンマーク発の「ソストレーネ・グレーネ」がイオンモール幕張へ出店したことで、低価格、商品戦略に加えその立地戦略にもマーケットの注目が集まることになった。

北欧デザイン,低価格,ワンウェイコントロールなど共通点の多い2店だが立地戦略は異なる。

都市部で追随する類似店は「アソコ」等が既にあるが、アピタ西大和に出店したスェーデン発「ラガハウス」など郊外立地が加わることで、今後は雑貨マ-ケット全体の価格政策や出店戦略など全体への波及に関心が拡がって行くだろう。

昨年渋谷モヴィーダ館に出店したロフトの「ロフトアンド」でコーナー展開したのが、100円クリエーションからの造語という「ヒャックリ」。

100円から500円までの低価格が売物とまるで米国の「ファイブビロー」の様だが、流石のデザインセンスでロフトらしい時代対応ではある。

 米国の価格訴求型小売業の主要な類型には、初期の10㌣ストアに始まり現在は隆盛を極める1㌦ストア(ダラーストア)へと進み、加えて生活必需品の枠を超えた品揃えの価格訴求型雑貨店として、急速に店舗網を拡げる「ファイブビロー」へ繋がる多店舗展開小売業の流れがある。

 北欧系低価格雑貨店の米国進出時に、異なるタイプの「ファイブビロー」との戦いが興味深い。

「トイショー」

 年明け最初の玩具見本市は「トイEXPO」と「有力トイメーカー」が同一会場で、同日に「タカラトミーアーツ」も開催され、来場する小売店にとっては移動時間の節約が、低単価商品の発掘や販売促進の確認時間に振替えられ有意義だった。

 昨年末は玩具に近い存在のファンシー系雑貨店の多くも前年売上の維持に苦労し、玩具と雑貨の伸び率を云々する意味などない商戦だった。

 最も顧客に近い売場の視点で比較すると、12月が瞬発力という点で玩具に軍配が上る一番の理由は客単価で、雑貨店の弱点はギフトシーズン対応の高単価品の品揃えに偏りがあることだ。

 今は玩具,雑貨共に平月と繁忙月の客単価の差を意識して作ることが必須で、圧倒的に長い平月の売場には低単価商品の拡充は欠かせない。

「境目にあるビジネスチャンス」

 日々商品に触れ人と接する店から見ると、境目の意識こそビジネスチャンス創出の鍵になる。

 店はこれまでも顧客の視点で部門を超えテーマや場面で商品を括り表現して来たが、今後は境目を意識し,溶かし,極大化することにより過去に類型の無いカテゴリーを創出するために知恵を絞り、具現化へ進む時機と捉え直すべきだ。

 モノ作りに直接関れない小売店が商品で個性を出すのは難しいが、個性を出すための方法としてアソートメントに力を注いでいる店は多い。

 玩具と文具の境目を考えると表面上は玩具が遊びで文具は学びになるが、どちらかに属している商品も子供が使う場面では、遊びながら学んでいたり学びのはずがどこかで遊んでもいる。

 これは子供だけに起きることではなく大人も無意識に学びと遊びの間を往来し、境目にある多くの商品はどの部門に入れても違和感はない。

 モノ余りが極まる時代の小売業がなすべきは境目の解きほぐしによる部門創造で、玩具と文具,玩具と雑貨,雑貨と文具,書籍と玩具,書籍と雑貨,書籍と文具など、身近にあるマーケットの間にある増殖した境目の独り立ちへの手助けだ。

 日本の店の顧客ターゲットに関する意識は未だ浅いが、ターゲットへの意識が深まると共に、境目にある大きな商機は再確認されるだろう。

「イオンモール幕張新都心再訪」

平日のJR駅からモールへの有料バス(100円)は、大変な混み様でモールの人気の持続を裏付ける。

今回は玩具の拡がりをテーマにファミリーモールを見たが、ここでもモール全体を貫く体験型の集積という芯が通り、同位置に1F「トイザらス」,2F「キッズ共和国」プラス体験型を象徴する施設3F「カンドゥー」と3層に核店が重なる。

ベビー,キッズ関連が集積の専門店街に煎餅作り体験「ばかうけサーカス」や「東映ヒーローワールド」等時代が求める体験型施設もあり、物販以外でのリピーター対策の方向性も窺がえる。

 グループ83例会予定 (3月期)

大阪例会  3/ 7(金) 10:00~12:00 備後屋会議室
札幌例会  3/11(火) 16:00~18:00 葉佐研会議室
東京例会  3/14(金) 13:00~16:00 日本青年館
テーマ  「2014年.マーケットの新潮流」 葉佐弘明

連絡先 株式会社 葉佐商品研究所 TEL 03-3707-4453