葉佐弘明の「マーケット短信」 Vol.285 Mar,10 2014

「コジマのビックカメラ化」

 用賀駅から徒歩5分の距離にある「コジマ」に、「ビックカメラ」指導の下玩具売場が開設された。

 都市部駅前立地の大型店が主流のビックカメラだが、小商圏の小型店への仕組みを背景にした売場指導は玩具でのキャリアの長さを物語る。

 年が明けてからの売場新設のため、年間最大のクリスマス商戦は今年経験することになるが、準備期間があるのはむしろプラスに働きそうだ。

 多くの玩具店が駅前商店街から消えて久しいが、駄菓子屋が消えても食品スーパーの菓子売場に駄菓子はある訳で、玩具店の枠を外し異業種,異業態との協働による売場再興も道の一つ。

 コジマの試行を地域密着型の玩具の在り方という視点で見ると、協働という新しい仕組みを背景にした新しい道筋が示される可能性を持つ。

「あべのハルカス」

 横浜の[ランドマークタワー]を抜き、300㍍の高みから大阪を見下ろす日本一のビル[あべのハルカス]が、3月7日全面開業した。近鉄百貨店が核の商業部分は既に営業中であり、この日は施設全体の集客の要である期待の展望台に、ホテル、美術館が加わってのグランドオープン。

 商業部分は数回見たがここにしかない楽しさ,個性などで感嘆詞が出るまでのものは見られず、同質化した日本の百貨店の個性の無さを再確認。

 残念なのは「モノ」「コト」「サービス」の専門フロアと銘打った「KODOMOの街」で、百貨店らしさが感じられない玩具売場と大規模だが商品種類と量が前面に出た子供書籍売場を核に、モノ中心に導入のテナント構成から楽しさは伝わらず、ファミリーの滞店時間は長くなりそうにない。

3階外の駐車場ビル屋上部分の有料遊戯施設スェーデントリムハウスは目の前に飲食ビル裏側の汚い壁面がある酷い環境で、わざわざ来た百貨店の子供を遊ばせる場所ではなく今求められるサービスのレベルはこれ程低次元ではない。

10代,20代女性への「ソラハ」も良いがファミリー揃っての来店も百貨店が目指すべき方向で、子供がまた来たくなる売場は大きな方向付けの無いテナントの集積だけでは完成しないだろう。

百貨店の売場面積で日本一であっても、客の立場から見た時の中身の伴わない売場は、大きければ大きい程客は疲れるのではないだろうか。

in KAWADA」と「プレイタイム東京」

 今月初めに開催された「in KAWADA」。毎回楽しみにしているが今回は更に幅を拡げ細かいところにも踏込み、見て回るのが大いに楽しかった。

 「カワダ」の提案は現代の特に専門店にとって

関心を持たねばならない類のもので、店がせねばならぬ商品のセレクトと自主編集がこのレベルで可能になると、必ず店は変りその積み重ねにより結果として他店との差別化が進んで行く。

 もう一つは先月末開催の「プレイタイム東京」。ベビー,キッズ対象の年2回開催のショーだが、回を重ねる度に出展が増え気になる商品も増える。

フランス発の出展社が多く小ぶりでも魅力ある商品に出会うチャンスが数多くあり、ベビー,キッズの個性的な店を作りたい人にはお奨めの見本市だ。

上記のまるで異質に見える二つの展示会も、客側の視点から見ると共通点があり且つ差異のあるところが重要で、そこに気が付くと自店の個性化への第一ステップを踏んだことにもなる。

「ルーズベルトフィールド」

 毎年この時期にはニューヨーク郊外ガーデンシティのSC[ルーズベルトフィールド]に行く。

 ここは核店舗として百貨店が4店にスポーツメガストアが1店ある5核の超大型SCだが、ご多分にもれず店舗の入替は頻繁に行われ、昨年あったクリエイティブヨーコの「はんなり」や「ポタリーバーンキッズ」は既に無くなっていた。

 かつてこのSCには大型玩具専門店「ヌードルキドゥードル」があり、店頭にその月に子どもが参加可能なイベントが掲示されていたが、今も記憶に残るのは”外へ出て星を見よう”という郊外型のSCに出店しているが故に可能な企画。

 その後5年程前に専門店「マティズ トイストップ」が入ったが数年で退店し、今このSCの案内でトイに名を連ねるのは「レゴ」,「ディズニーストア」,「ビルドアベアー」で玩具専門店はない。

 ここはまた今年も大掛かりな工事に入っているが、それは最高級の百貨店「ニーマンマーカス」の出店が確定したためのもので、完成するとここには超高級百貨店,高級百貨店2店,大衆百貨店そしてジュニア百貨店と、顧客ターゲットの異なる5店の百貨店が勢揃いすることになる。

 同質化した日本の百貨店との違いを知ると共に選択の幅の少ない日本の消費者の不幸も知る。