葉佐弘明の「マーケット短信」 Vol.286 Mar,25 2014

「百貨店のアウトレットストア」

 日,米の百貨店を比較し最も違いを感じるのは、出店戦略とPB商品開発ではないだろうか。

 米国の百貨店の出店戦略は郊外型SCが中心、日本の出店戦略はターミナルや都市部が殆どで、フルラインによる郊外出店は先ず考えられない。

 店舗数ではメイシーズが約840店、「コールズ」は1,000店を超え、「JCペニー」も約1,100店を全米展開し、日本の百貨店とは二桁も違う。

これだけの店舗数を持つと次に自社商品開発に進むのは当然の流れであり、米国の百貨店のもう一つの特徴はPB商品の比率が高いことだ。

更に在庫過多の商品やラインから外す商品などの処理をするためのアウトレット業態を、高級百貨店でさえ必ず保有するのもPB商品故だ。

高級百貨店の「ニーマンマーカス」,「ノードストローム」,「ブルーミングデール」は、ストアブランドによる商品開発を進めアウトレットストアを開発し、主として郊外型のアウトレットモールや、箱型の郊外型SCに継続出店している。

 アウトレット業態で最大の店舗数を持つのは「ノードストロームラック」で、当初百貨店3店に付き「ノードストロームラック」を1店出店する戦略だったが、今や百貨店1店に対しアウトレットもほぼ1店とし店舗数は100店を超えた。

一方日本の大手百貨店の出店戦略は、大阪地区における昨年の「阪急うめだ本店」や、今月グランドオープンの「近鉄あべの店」に見る様に都市中心部への出店であり、多くの場合直営売場に注力するよりは有力專門店の導入に傾斜し、PB商品開発に向う企業はほんの一部に留まる。

 米国の郊外型SCを見ると必ず複数の百貨店があるが、日本では成功例が殆どないのは出店戦略と自社商品開発の差異に主因がありそうだ。

「低価格だけではない雑貨店」

 生活に必要な雑貨は低価格が効力を発揮するが、生活意識の変化は求められるものも変える。

米国で急激に伸張する「ファイブビロウ」の人気は、全商品5㌦以下と今の商品がその根源だ。

「ダイソー」は米国で商品価値を認められたが、日本の100均店は店自体までオシャレになった。

 今北欧系の雑貨店に人が集まるがデザインやカラ―のセンスが良い上での安さが鍵で、日本の雑貨は決して安さだけで売れる時代ではない。

「連休初日の上野周辺」

 21日(春分の日)は上野周辺をのんびり歩く。

 上野駅は通過駅になるといわれているが、美術館,博物館,動物園と文化施設も多く、イメージも気分も変りなくターミナル駅そのものだ。

昼食時の駅の[アトレ]ではレストラン街は何処も満席で待ち列が続き、活気が漲っている。

駅前の老舗玩具店「ヤマシロヤ」は、この店のきめの細かい品揃えと隙のない売場作りが外国人の来店も当然と思わせ、賑わいの大本は決して立地だけではないことを再確認させられる。

 線路脇の道を松坂屋へ向うと、「アメ横」は年末程ではないが狭い通りに人が溢れ、真直ぐは歩けないが乱雑さも雰囲気の要素となり楽しい。

かつて小売業在籍時には良くここへ仕入れに来たが、取扱商品や店は時代と共に変るものの相変わらず独特の雰囲気があり、人が集まる街にはそこにしかない個性があることを実感する。

「店作りの手順」

 店作りに長く携わって来て思うのだが、これだけ激しく変化する時代にあっては従前と同じ手順で店作りを考えるのではなく、自店が対象として来た顧客の変遷を再確認し時代背景を併せ確認した上で店作りを考えることを奨めたい。

 経験を積んだ人は自らのキャリアに誇りを持ちその経験値を財産と思うのは当然だが、文具,玩具,書籍などの業種的小売業がここまで減少した背景を考えると、夫々のマーケットの厳しい現実についても、強い関心を持つ必要がある。

新しく店を作る時に最初に考えなければならないのは、店が目指すべきところを定めるストアコンセプト、想定し得る顧客ターゲットそして店舗立地の確定であり、それらを決定した後に始めて商品政策へと進むことになるだろう。

現在の店を見直す時に踏む手順もほぼ同様で、時代への対応を軸とするコンセプトの再確認と顧客ターゲットと立地の再確認は必須条件、付加するサービスや立地によっては飲食とのコラボの検討など、物販の枠を外して始めて見えて来る時代が求めるものへ関心を持つのも大事だ。

最後の商品を考える場合にはカテゴリーという縦軸で考えるより先に、例えばあそび或いはギフトという無形の横軸を通すのが最新の店作りのポイントで、何屋になるかはそこで決まる。