住職さん、納骨を済ませて、ほんとうに一人になってしまいました。  (中央区Iさん)

よく申し上げるのですが、二度のお別れがありますね。一度は亡くなったとき、もう一度は納骨のときです。手元から離れて行ってしまう、そんな寂しい思いをされているのだろうとお察しします。

2万体もの死体解剖をしてきた或る人のことを聞きました。その方は、人間は死ねば「ナッシン グ」だ、何にも残らない、と思ってきた。しかし、奥さまを亡くした今、「行ってくるよ!」「いま帰ったよ!」「今日はこんなことがあったよ」とお仏壇に 向って話しかけているといいます。

仏教は「出遇い」の教えですね。そう言いきって間違いないと思います。自分との出遇い、朋(とも)との出遇い、そして亡くなった人との出遇い。亡くなった人と、どう出遇っていくか、亡き人の眼差しをどういただいていくか、これが仏教なのだと思います。