漢字で「お斎(とき)」と書きます。「報恩講」に出される精進食事のことです。
本来は、午前中に出される食事を「斎」といい、午後の食事は、時ならぬ食事ということで「非 時(ひじ)」といいます。東南アジアの上座仏教の僧侶たちは、現在でも菜食主義を貫き、午前中のみの食事を基本としています。日本では、一般的に仏事にお ける食事を総じて「お斎」と呼んでいるようです。
お斎の歴史は古く、真宗教団においては「報恩講」の歴史とともにありました。農作物を持ち寄り、あるいは手料理を持ち寄って、みんなで食事をすることが一年に一度の贅沢な喜びとなっていたのです。
「報恩講」において仏恩報謝の生活を確かめるとともに、食事をとることによって改めて生かされている身の事実をかみしめる。それが「お斎」の意味なのでしょう。
「子どものころ、お寺で食べた食事が忘れられない、今はやっていないのですか?」などとよく尋ねられます。明順寺の「お斎」も時代と共にずいぶん変化していますが、是非、楽しみにいらしていただけたら幸いです。
下は、本山「報恩講」のお斎です。