開催要項にある安原晃・宗務総長の挨拶文を紹介しておきましょう。
私たちは、日々、自分を取り巻く環境や、人との関係において、「悩みがなくなるように」「私 の思いどおりになるように」と願って生きています。ところが、悩みはなくなることはありません。なぜでしょうか。どうやら、「悩みがなくなるように」「私 の思いどおりになるように」と望むことそれ自体が、私自身を苦しめているようです。
私が教えをいただいた先生に、こういう言葉があります。
あれは嫌い
これは駄目
あいつは困る
こいつは…と
切り続ける
私はどうも
ハサミのようだ
私たちは、混迷し続ける現代社会の中にあって、はたして本当に悩むべきことを悩んでいるでしょうか。悲しむべきことを悲しんでいるでしょうか。
本当の救い とは、「ハサミ」として生きる自分自身からの解放でなければなりません。それは悩みがなくなることではなく、悩みの根源をたずねる悩む力・生きる力をいた だくことであります。
そして関係を生きる人としての課題を、我が課題として立ち上がる者となることであります。しかし、それは、どこにおいて、何を根拠と して成り立つのでしょうか。このことを親鸞聖人は「ただ念仏申さるべし」と私たちに差し示してくださっております。
今回、宗祖親鸞聖人750回御遠忌を記念して、朝日新聞社と共に、「親鸞フォーラム」を開きます。
今、立ちどまって、人間存在の根拠ということを、皆さんと一緒にたずねていきたいと思います。