打敷(うちしき)について教えてください。  (板橋区Wさん)

打敷は、仏壇の卓にかける逆三角形の布のことです。もともとは釈尊の座る高座のうえに布を敷いたのが始まりだといわれます。
日常はかけませんが、祥月命日以上の重い法要に用いられ、織物製と刺繍(ししゅう)でできたものがあります。

刺繍の歴史は古く、『日本書紀』によれば、推古天皇13年(605年)に勅命により銅(あか がね)と繍(ぬ)いの丈六仏が作られた、との記述があるそうで、以来、浄土の世界を荘厳(しょうごん)する技法として栄え、それが今日でも寺院で用いられ る打敷に伝承されているということです。

手刺繍のものは特に高価なものですが、古くなりますと刺繍部分を生地からはがし、新しい生地に付け替えることができます。
こうして伝統工芸品が保存されていくのです。

打敷には、夏物と冬物があります。やはり法要や季節によって使い分けることが望ましいものです。特に、お葬儀から中陰中は、白地に白、金または銀の唐草模様がはいったものがよく使用されます。赤や紫色の打敷は使いません。

写真は、明順寺本堂にかけられた打敷です。「報恩講」に用いられています。
三尊用に揃えられていますが、総額1000万円近いものです。

参考:報恩講の写真 http://mjj.or.jp/hoonkou/hoonkou_detail
参考:先代住職37回忌法要(2009.1.24)http://mjj.or.jp/katsudou/090124