葬儀には3つの意味があるといわれています。一つには、亡くなった方の弔いです。これは宗教的なもので、弔いをしない民族はないといいます。二つに は、亡き人との別れです。告別式といわれる部分がこれにあたり、社会的意味があります。通常、会葬者がお焼香をすることが、お別れの儀式になっているよう に思われます。三つには、悲しみを癒す意味があります。お経もあがり、きちんとした形で親を送れ、皆さまにも送っていただけたということが、後々、遺族の 心の安らぎ、安堵につながっているようです。
最近、葬儀をどのようにしたらいいのだろうかという相談をよく受けます。事情はさまざまで す。社会的立場があるので密葬・本葬と別にしたい。後日、お別れ会をしたい。お通夜、お葬式のあの騒ぎをしたくない。誰も来る人がいない。本人の希望が あったが、どのように反映したらいいのか…。経済的なこともあります。明順寺では、事情をよく考慮しながら、適切な方法・場所等を選択するようアドバイス しています。もちろん、明順寺本堂での家族葬も選択肢の一つです。
仏式でつとめられる葬儀は、死を見つめる大切な時間です。亡くなった方の安らかなお顔を見て いると、誰しも湧きでてくるものがありましょう。人間は必ず死ぬという事実、その中で「いのち」を尽くして生きられたという感動、日々のご苦労、感謝…。 身業説法(しんごうせっぽう)という言葉がありますが、亡き人は身を持って私たちに「いのち」の有りようを教えて下さっています。
葬儀は、私たちの気が済んだということで終わるものではありません。亡き人からの眼差(まなざ)しをいただいていくこと、亡き人との対話が大切です。葬儀という場を大切に、住職とともに共有して下さることを希望します。